予防接種は、細菌やウイルスなどの病原体からつくったワクチンを接種することによって特定の病気になりにくくし、また、たとえその病気になったとしても軽く済むようにします。
ワクチンは、感染症の原因となる各種の細菌やウイルスの病原性を弱めたり、また、それらを無毒化したりしてつくられます。これを注入することによって、体内に抗体をつくらせ、接種以後、当該感染症にかかりにくくし、また重症化を防ぎます。
当院では小児・成人向けの予防接種をそれぞれ行っております。
インフルエンザは、インフルエンザウイルスへの感染による疾患で、発症すると38度以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛などの全身症状が現れます。併せて普通の風邪と同じように、のどの痛み、鼻汁、せきなどの症状も見られます。お子様では稀に急性脳症を、ご高齢者や免疫力の低下している方では肺炎を伴うなど、重症化することがあります。
インフルエンザワクチンは、接種してから効果が出るまでに約2週間かかり、その効果は約5ヶ月間持続します。日本では、インフルエンザが例年12月~3月頃に流行するので、毎年10月下旬~12月に接種するのが妥当でしょう。
肺炎とは、主に細菌やウイルスなどの病原微生物が肺に感染して炎症を起こす疾患です。呼吸器の防御機能が病原微生物を排除できなかった場合や、病気やストレスなどのために免疫力が落ちている時など、つまり感染力が防御力を上回った場合に、病原微生物が上気道から下気道、そして肺に入り込んで感染し、肺炎になってしまうのです。
がん、心臓病に続いて、肺炎は日本人の死亡原因の第3位を占めています(厚生労働省発表の平成23年調査結果)。高齢者や慢性の病気を持っている方などは、肺炎にかかりやすく、しかも治りにくい傾向がありますので、要注意です。
肺炎を予防するためにできることの一つに、肺炎球菌ワクチンの接種があります。
肺炎の原因菌で最も多いと見られるのは、肺炎球菌です(成人の肺炎の20~40%は、この菌が原因と言われます)。肺炎球菌ワクチンは、肺炎球菌による肺炎などの感染症を予防し、重症化を防ぎます(ただし、すべての肺炎を予防できるわけではありません)。
接種は、1年を通して、いつでも可能です。ただし、5年以内に再接種を行うと、注射部位の痛みが強く出るケースがありますので、再接種を希望される方は、5年以上の間隔を空けてください。接種の年月日は、忘れないようにメモに残しておきましょう。
また、稀ながら接種した部位が赤くなったり、腫れたり、熱を持ったり、痛んだりすることがありますが、通常は2~3日で治まります。その他、熱っぽい、だるいなど体調の変化があった場合には、すぐにご相談ください。
水痘・帯状疱疹ウイルスへの感染による疾患で最初に感染したときには、帯状疱疹ではなく、水ぼうそうとして発症します。皮膚がぴりぴりした感じや鈍痛で始まることが多く、痛みを感じた部位に「発疹」が出ます。
水ぼうそうは、免疫によって治りますが、加齢やストレスなどにより免疫力が低下すると帯状疱疹として発症することがあります。ウイルスが皮膚へ攻撃することにより水ぶくれなどのブツブツが現れるとともに、神経への攻撃によって強い痛みが起こります。また、薬物療法により帯状疱疹の皮膚部分は治癒したにもかかわらず、帯状疱疹の時の痛みだけが後遺症として残ってしまう場合がありこれが帯状疱疹後神経痛です。
帯状疱疹後神経痛にならないためには、まず帯状疱疹にならないことが何より重要です。ワクチンを接種することで、帯状疱疹を予防または症状を軽く出来ます。
当院では水痘ワクチンとシングリックスの2種類のワクチンがあります。
水痘ワクチン | シングリックス | |
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ワクチンの種類 | 生ワクチン 生きているウイルスの病原性を弱めたもの |
不活化ワクチン 病原性を弱めたもの |
接種方法・回数 | 皮下注射 1回 | 筋肉注射 2回(2ヶ月間隔) |
費用 | 8,800円(税込) | 22,000円(税込)×2回 |
持続期間・有効性 | 約5~10年 50~60% | 約10年 80~90% |
メリット | ・接種が1回で済む ・費用が相対的に安い |
・予防効果が高い ・内服薬や既住歴に制限がない |
デメリット | ・予防効果が低く、持続期間が短い ・抗がん剤やステロイド投与中は接種できない |
・2回接種が必要で費用が高い ・副反応(痛みや腫れ)が出やすい ・使用年数が短い(2018年承認) |
※対象年齢:50歳以上